AV新法の任意解除と取下げ申請について

2022年6月にAV出演被害防止・救済法(通称、AV新法)ができました。そのAV新法にある出演契約の任意解除などと、これまでAV人権倫理機構が行ってきた作品販売等停止申請(以下、取下げ申請)が、混同されることがありますので、それぞれの特徴をご説明いたします。

  • AV新法の任意解除

  • 人権倫の取下げ申請

  • 特 徴

    AV新法施行後(2022年6月23日以降)に出演契約が取り交わされ、内容等の説明を受けて契約した作品の出演について適用となります。制作公表者に伝えることで、契約はなかったことになります。

    これは引き返す権利を認めるものです

    ただし、契約がなかったことになりますので、これまで受け取った出演料の返還は求められることになります。

    ※解除の意思表示があれば、返還前であっても有効となります

    ※内閣府が出している「AV出演被害防止・救済法の解説」の中では「出演者は契約に基づいて受け取った出演料の返還を、制作公表者は出演者の役務を金銭評価した額を返還することになります。なお、出演料の返還は、解除権行使の条件ではありません」と書かれています

    ※「AV出演被害防止・救済法Q&A」(AV出演被害防止に関する各党実務者会合/立花書房)のQ48にも上記の事項が詳しく記されています

    なお、2022年6月22日以前に出演契約を交わした作品につきましては、出演契約に基づくことなく作品が公表された場合には差止請求権がありますので、差止請求をすることができます。

  • 特 徴

    2018年2月から当機構で行っている仕組みであり、過去に契約し、販売している作品を販売中止にしたい場合に、簡易な方法で申請できる制度です。

    本来は、強要案件を見つけ出し、業界内の施策の参考にするために開始した制度ですが、5年超が経ち、権利者メーカーの協力を得て、現在では事実上忘れられる権利を保障する制度となっています。

    ただし、権利者メーカーの判断で販売を継続することはありますが、販売が中止になっても出演料の返還は求められません。

    当機構で2018年2月から実施してきた作品販売等停止申請については、業界の自主規制の一つとして、出演者から申請があれば、本人確認及び取下げ理由の確認を行った上で、その旨を当該作品権利者メーカーに伝え、権利者メーカーが判断をして申請に同意するかどうかを決めるものです。
    なお、発売から5年以上の古い作品については販売を停止することを業界で申し合わせており、これまでに800数十件の申請をいただき、該当する30,000以上の作品の内、85%の販売停止等を行ってきました。